2026/01/29 18:00
こんばんは。
民法第53問 配偶者の居住の権利
1 総 評
本問は、配偶者の居住の権利に関する民法の条文の内容を問うものです。
本問においてポイントとなるのは、肢ア、肢エ及び肢オです。肢アは、過去の本試験で問われたことのある条文知識ですから、解答することができてほしいものになります。
配偶者居住権ができた沿革ですが、被相続人の配偶者が居住建物の所有権を取得した場合には、その配偶者の具体的相続分が僅少となってしまいます。他方で、居住建物を他の相続人の所有とした場合、当該相続人との間で賃貸借等により、賃料を負担しなければならなくなってしまいます。そこで、これらの弊害の除去を目的として作られた制度が配偶者居住権ということになります。平成30年の民法(相続法)の改正によりできた新しい権利です。
2 各肢の簡単な講評
ア 配偶者居住権は、配偶者の住み慣れた環境下での居住の権利を保護するものですから、譲渡することはできません。また、配偶者が死亡した場合においても、相続の対象とはならないことにも注意しましょう。なお、居住建物の所有者の承諾を得れば、第三者に居住建物の使用又は収益をさせることが可能です(民1032条3項)。
イ 配偶者居住権を有する配偶者は、居住建物の所有者でないにもかかわらず、その修繕をすることができます。これについては、居住建物の所有者の承諾を得る必要はありません。なお、居住建物の改築又は増築については、居住建物の所有者の承諾を得る必要がありますので(民1032条3項)、対比しておさえておきましょう。
ウ 配偶者居住権を有する配偶者が居住建物について共有持分を有する場合には、配偶者居住権の消滅を理由とする返還請求をすることができません。これは、配偶者が、その共有持分に基づいて共有物である居住建物の全部を使用及び収益することができることに由来します(民249条1項)。
エ 配偶者居住権の消滅請求について規定した民法1032条4項の知識を問うものです。配偶者が居住建物について、善管注意義務違反、譲渡又は無断改築若しくは増築をした場合であっても、居住建物の所有者は、直ちに配偶者居住権の消滅の請求をすることはできません。要件をよく押さえておきましょう。
オ 遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立している場合には、遺産分割の審判において配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができます。当該合意が成立している場合には、本問のような要件は必要とされません。注意しましょう。
以上です。おつかれさまでした。
