2026/02/17 16:00
こんばんは。
不動産登記法第17問 印鑑証明書の添付
1 総 評
本問は、印鑑に関する証明書の添付に関する不動産登記法その他の関係法令の条文の内容を問う問題です。本問は、非常に重要な問題です。今日の講評は長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。
本問においてポイントとなるのは肢ア、肢イ及び肢ウです。印鑑証明書の添付に関する問題は、過去の本試験では、令和6年第17問、平成30年第18問及び平成28年第17問においてメインテーマとして出題されています。その他にも、肢レベルで多くの出題があり、司法書士試験の択一式の頻出事項といえるでしょう。また、記述式においても、誰のどのような印鑑証明書を添付すべきかが問題となることが多いと思います。
印鑑証明書は、原則として、所有権の登記名義人が登記義務者となる登記を申請する場合に提供すべき添付情報となります。例外も一定数認められますが、所有権に関する登記が出てきた場合には、すぐに問題点を想起できるようにしておきましょう。
2 各肢の簡単な講評
ア ごく基礎的な知識についての肢ですが、わかっていない方も一定数いるものと思われます。本人申請の場合には、登記の申請人は、申請書に記名押印すべきものとされており、当該登記の登記義務者が所有権の登記名義人であるときは、その押印に係る印鑑の印鑑証明書を提供するものとされています(不登令16条1項、2項)。これに対し、委任による代理人によって登記を申請する場合には、登記の申請人は、委任状に押印しなければならず、当該登記の登記義務者が所有権の登記名義人であるときは、その押印に係る印鑑の印鑑証明書を提供すべきものとされています(不登令18条1項、2項)。この場合、申請書にはその委任による代理人が押印します(不登令16条1項)。大事なことなので、ぜひ押さえておいてください。
イ 所有権の登記名義人が法人である場合において、当該法人が登記の申請に際して登記義務者となるときは、登記所の作成に係る代表者の印鑑証明書を提供しなければなりません。もっとも、会社法人等番号を申請情報の内容とすべき場合には、その印鑑証明書を提供する必要がありません。なお、所有権の保存又は移転の登記を受ける者が会社法人等番号を有する法人である場合には、住所を証する情報も提供する必要がありません。つまり、会社法人等番号の提供をもって印鑑証明書、住所を証する情報及び代表者の資格を証する情報の3つを省略することができることになります(不登令9条、不登規36条1項1号、4項、48条1項1号)。
ウ 印鑑証明書の提供は、申請人である登記義務者が所有権の登記名義人である場合に必要となります。これに加え、仮登記された所有権移転請求権や買戻権の登記名義人が登記義務者となる登記の申請においても、印鑑証明書の提供が必要になります。これらの権利は、所有権に準ずる重要な権利といえるからです。
エ 抵当権の変更又は更正の登記の申請をする場合において、所有権の登記名義人が登記義務者となるときは、その印鑑証明書を提供しなければならないのが原則です。印鑑証明書の提供が不要なのは、その変更又は更正が「債務者」に係るものである場合のみです。そのほかの抵当権の変更又は更正の登記の申請においては、印鑑証明書の提供を省略することはできません。ひっかからないようにしましょう。
オ 登記の申請において添付情報として提供された印鑑証明書は、「登記簿の附属書類」として、閲覧の対象になります。もっとも、申請人のプライバシーも保護する必要がありますから、その閲覧は、正当な理由がある場合にのみすることができます。非常に細かい知識です。中上級者の方も含めて気にしなくても大丈夫だと思います。
以上です。おつかれさまでした。
