2026/03/02 18:41
こんばんは。
不動産登記法第29問 抵当権の処分の登記
1 総 評
本問は、抵当権の処分の登記について、主として登記先例の内容を問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢ア、肢ウ及び肢エです。抵当権の処分の登記についての問題は、近年の本試験では、令和7年第24問イ(転抵当権の順位変更の可否)、令和2年第21問オ(順位変更の登記の原因日付)及び令和元(平成31)年第20問ウ(転抵当権の順位変更の可否)において出題されています。このように、抵当権の処分の登記については、問題の一部として出題されることはあるものの、メインテーマとして出題される可能性はあまり高くありません。したがって、抵当権の登記で力を入れるべきテーマは、設定、変更及び抹消の各登記であることから、本問で正解できなくても、全く問題ありません。本問は、難易度も高く、中上級者の方も含めて余裕がある方のみ復習すれば大丈夫だと思います。入門者や初級者の方は、まったく気にする必要はありません。
2 各肢の簡単な講評等
ア 抵当権の順位変更が合意解除された場合における当該順位変更の登記の抹消の可否を問うものです。順位変更の登記を抹消することができるのは、当該順位変更の合意が無効であり、若しくは取り消された場合又は当該合意が法定解除された場合に限られます。順位変更の合意を合意解除した場合には、元の順位に戻すために更に順位変更の登記を申請しなければなりません。
イ 細かい論点についての問題です。順位譲渡の登記がされた後に、当該順位譲渡の登記の当事者の間で順位変更の登記がされた場合には、当該順位譲渡の登記は意味をなさなくなります。もっとも、この場合であっても、当該順位譲渡の登記の抹消は、登記官の職権によりされるのではなく、「順位変更による失効」を原因とする申請による必要があります。
ウ 既登記の抵当権が未登記の抵当権に順位譲渡をした場合であっても、その未登記の抵当権について設定の登記したときは、当該順位譲渡があった日付を原因とする順位譲渡の登記をすることができます。これと対比していただきたいのが「順位変更の登記」の場合です。順位変更の当事者に未登記の抵当権がある場合には、その設定の登記を条件として順位変更の登記を申請することが認められます。この場合、当該抵当権の設定の登記の申請をした日を登記原因の日付とすることになります。
エ 不動産登記法ではなく民法の問題です。抵当権の譲渡又は放棄については、同一の債務者に対してのみすることができます。この同一の債務者には、設定者(物上保証人)も含まれます。もっとも、抵当権の債務者又は設定者以外の者の債権者に対する抵当権の譲渡又は放棄については、設定者に不測の物上保証を強いることになるため、することができません。
オ これも細かい知識です。抵当権の譲渡又は放棄は、その被担保債権の額の一部のみについてすることができます。詳細については、解答例をご覧ください。あまり気にする必要はありません。
以上です。おつかれさまでした。
