2026/03/03 17:02
こんばんは。
不動産登記法第30問 質権又は先取特権の登記
1 総 評
本問は、質権又は先取特権の登記について、主として不動産登記法その他の関係法令及び登記先例の内容を問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢ウ、肢エ及び肢オです。特に肢オの知識は、過去の本試験で複数回問われている重要知識です。先取特権又は質権についての問題は、近年の本試験では、令和4年第23問(質権)、平成30第23問(質権)、平成28年第23問(先取特権)において問われています。本問は、質権又は先取特権の登記という、ほとんど択一式でのみ問われる項目です。したがって、対策が手薄になると思いますが、逆に言えば、手薄な対策で十分な項目だといえます。過去の本試験で問われている事項のみ対策をすれば大丈夫です。数年に一度しか出題されない項目なので深入りは絶対にしないようにしましょう。
2 各肢の簡単な講評等
ア 過去の本試験において問われたことのない知識ですが、先取特権は、債権である質権を目的とすることはできません。抵当権と同じように考えていただければ大丈夫です。それだけです。深い意味はありません。
イ 不動産工事の先取特権の保存の登記においては、工事費用の予算額が登記事項となります。そして、先取特権は、法律に基づいて当然に生ずる担保物権(法定担保物権)なのですが、その工事費用の予算額のうちいくらを被担保債権とするかは、当事者が自由に決することができます。これも、本試験で問われたことのない知識ですので、中上級者の方で余裕のある方のみ、頭の片隅に入れていただければ十分です。入門者や初級者の方は気にしないようにしましょう。
ウ 不動産保存の先取特権の登記の申請において登記義務者の印鑑証明書の提供の要否を問うものです。不動産保存の先取特権は、保存行為完了後直ちに登記をしなければなりません(民337条)。そして、登記を申請する時にその先取特権の目的が不動産の所有権である場合には、原則どおり、登記義務者の印鑑証明書の提供が必要になります。なお、不動産工事の先取特権の登記及び不動産売買の先取特権の登記については、登記の申請時に登記義務者が目的不動産の所有権の登記名義人であることはあり得ませんので、印鑑証明書の提供は不要という結論になります。
エ 質権の設定の登記において、存続期間は、絶対的登記事項ではありません。したがって、質権設定契約において存続期間の定めがある場合に限り、申請情報の内容とすれば足りることになります。
オ 質権の設定の登記においては、違約金の定めを申請情報の内容とすることができます。質権者は、目的不動産について使用収益権を有するため、債務者又は設定者の使用収益の妨害に対して違約金を定めることができます。これと比較しなければならないのが抵当権です。抵当権者には、目的不動産の使用収益権が認められず、また、その債務不履行については賠償額の定めをすることができますから、違約金の定めを登記することはできません。肢オの知識は、重要知識ですから必ず押さえておきましょう。
以上です。おつかれさまでした。
