2026/03/07 16:56
こんばんは。
不動産登記法第34問 配偶者居住権の登記
1 総 評
本問は、配偶者居住権の登記について不動産登記法その他の関係法令及び登記先例の内容を問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢ア、肢ウ及び肢エです。配偶者居住権の登記についての問題は、近年の本試験では、令和3年第24問において出題されています。また、令和4年第36問(不動産登記法記述式)においても出題されました。配偶者居住権は、平成30(2018)年に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立し、2020(令和2)年4月1日に施行された新しい制度です。本問は、配偶者居住権の登記について、前回の択一式の出題から5年が経過しており、そろそろ択一式での出題があってもおかしくないため、出題しました。重要度は、さほど高くないですが、ポイントだけは押さえておきましょう。
2 各肢の簡単な講評等
ア いわゆる「相続させる旨の遺言」がされた場合、配偶者居住権の設定の登記の前提となる所有権の移転の登記について、その原因をどのように解すべきかについて問うものです。配偶者居住権は、相続によっては取得することができません。相続によって配偶者居住権が取得することができるものとすれば、配偶者がこれを配偶者居住権の取得を辞退する場合に、相続の放棄によらなければならなくなり、相続財産を承継することができなくなるからです。
イ 配偶者居住権についても、賃借権の場合と同様に、居住建物について第三者の使用又は収益を許す旨が申請情報の内容となります。なお、当該定めがある場合には、配偶者居住権を目的とする賃借権の設定の登記を申請することができます。これは、配偶者が介護施設に入居するなど事情の変更が生じた場合に、居住建物を有効に活用するためです。
ウ 配偶者居住権については、存続期間を伸長することができません。したがって、存続期間を伸長する旨の配偶者居住権の変更の登記も申請することができません。配偶者居住権は、居住建物を無償で使用及び収益することができる権利であるため、存続期間が長いほどその財産的価値が高くなります。したがって、配偶者居住権の存続期間の延長や更新が認められると、配偶者居住権の財産評価を適切に行うことが困難になることがその理由であるとされています。
エ 遺贈を原因とする配偶者居住権の設定の登記の申請は、遺言執行者が配偶者と共同して申請することができます。なお、ここで注意していただきたいのが、遺言執行者は、相続人の代理人ですから、登記義務者の側に立つことです。登記権利者の側に立つことはできません。記述式などで遺言執行者がでてきたときは、留意しましょう。
オ 民法1032条4項に基づく消滅請求による配偶者居住権の登記の抹消の申請は、原則どおり、共同申請となります。登記権利者の単独申請ではありませんので注意しましょう。なお、同条4項に基づく消滅請求の要件は、民法においても重要なものです。ぜひ押さえておきましょう。
以上です。おつかれさまでした。
