2026/03/10 18:45
こんばんは。
不動産登記法第36問 仮登記全般
1 総 評
本問は、仮登記全般に関し、主として登記先例の内容について問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢ア、肢イ及び肢ウです。本問は、仮登記の申請手続及び仮登記に基づく本登記に関する事項を問う問題ですが、これらに関する問題は、近年の本試験では、令和7年第26問、令和6年第24問及び令和元(平成31)年第23問において出題されています。仮登記に関する事項は、いずれも複雑で、かつ、難解なものが多いですので、問題を解きながら少しずつ理解していくのが得策だと思います。特に、仮登記の実行形態(主登記か付記登記か)や仮登記に基づく本登記の手続を苦手とする方が多い印象ですので、これらを得意にすれば、他の受験生との差をつけることができます。
2 各肢の簡単な講評等
ア 仮登記の申請においては、登記識別情報及び第三者の許可、同意又は承諾を証する情報を提供する必要がないのが原則です。もっとも、根抵当権の極度額の変更請求権の保全の仮登記を付記登記ですべきことを申請する場合については、登記上の利害関係を有する第三者の承諾があったことを証する情報等を提供しなければなりません。なぜなら、根抵当権の極度額の変更の登記については、常に付記登記によって実行されるため、仮登記の申請の段階においても不動産登記法66条により当該情報の提供が要求されるからです。
イ 所有権の移転の登記を申請する場合には、登記権利者の住所を証する情報を提供する必要があります(不登令7条1項6号、同別表30添ハ)。もっとも、所有権の移転の仮登記の申請においては、当該情報を提供する必要はありません。これは、仮登記に基づく本登記の申請の際に当該情報を提供すれば足りるものとされているためです。
ウ 所有権の移転の仮登記又は所有権移転請求権の保全の仮登記がされている場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請する前に仮登記義務者が死亡したときであっても、その前提として相続を原因とする所有権の移転の登記を申請する必要はありません。なぜなら、当該所有権の移転の登記は、当該仮登記に基づく本登記によって直ちに抹消される運命にあるからです。
エ 本問の場合、甲区3番で仮登記されているのはCのBに対する所有権の移転請求権、甲区3番付記1号で仮登記されているのはDのCに対する所有権の移転請求権の移転請求権です。そして、「D」が「C」に対して予約完結権を行使したわけですから、まず、甲区3番付記1号の仮登記に基づく本登記を申請します。この本登記の実行によって「D」が「B」に対する所有権の移転請求権を確定的に取得することになるので、甲区3番の仮登記に基づく本登記によって「D」が甲土地の所有権を対抗することができるようになります。なお、この場合、Cも、Dの承諾を証する情報を提供すれば、甲区3番の仮登記に基づく本登記を申請することができます(昭44.10.2民甲1956号)。
オ 抵当権について抹消の仮登記がされている場合において、債権譲渡を原因とする抵当権の移転の登記がされた後に当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、抵当権の譲渡人又は譲受人のいずれか一方がその登記義務者となることが認められています。そして、譲渡人がその登記義務者となる場合、抵当権の譲受人は、仮登記義務者から権利を取得した者であるため、登記上の利害関係人(不登109条2項)に当たりますから、抵当権の抹消の仮登記に基づく本登記の申請においては、その承諾を証する情報を提供しなければなりません。
以上です。おつかれさまでした。
