2026/03/11 18:15
こんばんは。
不動産登記法第37問 信託の登記
1 総 評
本問は、信託の登記について主として不動産登記法その他の関係法令の内容を問う問題です。本問においてポイントとなるのは、肢ウ、肢エ及び肢オです。信託の登記は、民法の特別法である信託法14条が「登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。」と規定していることから、当該権利が現に信託財産に帰属していること及び当該信託の内容を公示するという機能と有するものとされています。なお、司法書士試験では、信託法が試験科目とされていないことから、信託の登記の範囲内で講義やテキストの内容が展開されるため、苦手とされている受験生が多いと思います。また、深入りするところではありませんので、よく出題される知識を部分的に押さえて本試験に臨むのもアリだと思います。
2 各肢の簡単な講評等
ア 複数の委託者がある場合において、その一部の者を受託者とする信託の登記の登記をすることができるかを問うものです。本問の事例が自己信託の一類型に当たるか否かについては、委託者の中に受託者とならない者(A)が存在しているため、自己信託には該当せず、乙持分も含めて信託契約とみて、共有者全員持分全部移転及び信託の登記をすることができるもの解されています。
イ 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならないものとされています(不登98条1項)。そして、信託行為に基づいて不動産に関する権利(たとえば所有権)が委託者から受託者に移転した場合、同条1項の適用を受けるため、登記の目的を「所有権移転及び信託」とし、登記原因を「年月日信託」とします。これに対し、本問の事例のように、受託者が信託財産である金銭をもって不動産を購入した場合、登記の目的を「所有権移転及び信託財産の処分による信託」としますが、登記の原因は単に「年月日売買」とすれば足りるものとされています。
ウ 信託の登記について、受託者の氏名若しくは名称又は住所について変更が生じた場合には、通常の登記名義人の氏名又は住所の変更の登記と同じですから、受託者が単独でその変更の登記を申請することができます。なお、当該登記がされた場合には、登記官は、職権で、信託の変更(信託目録の記録の変更)の登記をするものとされていますので(不登101条3号)、受託者は、信託目録の記録の変更の登記を申請する必要はありません。
エ 信託財産に属する財産を受託者の固有財産に帰属させることは、利益相反行為に当たるため、原則として禁止されています(信託31条1項1号)。もっとも、①信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき、②信託行為に当該行為をすることができない旨の定めがなく、受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき、③相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき等の場合には、例外的に認められています(同条2項)。この場合の権利の変更の登記の申請は、受益者が登記義務者となります(不登104条の2第2項前段)。なお、この場合には、当該不動産は信託財産ではなくなるため、同時に、かつ、同一の申請情報によって、信託の登記の抹消も申請しなければなりません(不登104条1項、不登令5条3項)。
オ 信託の登記は、受託者が単独で申請することができます(不登98条2項)。もっとも、受託者が所有権の移転の登記のみをして信託の登記を申請しようとしない場合には、委託者又は受益者が委託者に代位して信託の登記を申請することができます(不登99条)。なお、この場合の代位原因は、「不動産登記法第99条」とすれば足りるものとされています。
以上です。おつかれさまでした。
