2026/03/12 20:44
こんばんは。
不動産登記法第38問 処分禁止の仮処分の登記
1 総 評
本問は、処分禁止の仮処分の登記に関し、主として不動産登記法その他の関係法令の内容を問う問題です。
訂正があります。肢アについてです。「処分禁止の登記に後れる登記の抹消の申請においては、登記原因を証する情報を提供する必要はない。」という趣旨で正しい肢として出題しましたが、原文では、その前提となる判決による所有権の移転の登記の申請につき登記原因を証する情報の提供を要しないものとしか読み取ることができません。したがって、3で訂正しておりますので、ご確認いただければ幸いです。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。
本問においてポイントとなるのは、肢ア、肢イ及び肢ウです。処分禁止の仮処分の登記は、近年の本試験では、令和6年第25問、令和2年第22問及び平成29年第23問において出題されています。
2 各肢の簡単な講評等
ア 仮処分の登記と同時に申請する当該仮処分の登記に後れる登記の抹消の申請をするときは、登記原因を証する情報を提供する必要がありません。仮処分の登記に後れる登記の原因行為については、当該仮処分の効力によってその効力が否定されることになるからです。「仮処分による失効」と記載すれば足りるものとする登記原因についてもこれを表象しています。法的になかったことを否定するに際して登記原因もなにもないということです。なお、肢アについては、次ページに訂正があります。
イ 地上権の移転請求権を保全するための処分禁止の仮処分において保全仮登記がされるかどうかを問うものです。保全仮登記がされるのは、不動産に関する「所有権以外の権利」の「保存」、「設定」又は「変更」の登記請求権の保全を目的とする処分禁止の仮処分の場合です。したがって、地上権の移転請求権の保全を目的とする処分禁止の仮処分においては、保全仮登記はされません。下線部は、ぜひ覚えましょう。
ウ 処分禁止の仮処分の登記の登記がされた不動産について、その使用及び収益をすることができない旨の定めのない質権の設定の保全仮登記がされた場合、当該保全仮登記の本登記の申請に際して保全仮登記に後れる質権の設定の登記を抹消することはできません。本問の場合、保全すべき権利は、単なる担保権であって、当事者の特約により質権者による目的不動産の使用及び収益が否定されているからです。
エ 仮処分の登記と同時にされた保全仮登記は、通常の仮登記とは性質を異にするものです。これを処分したり、処分の制限をしたりすることはできません。
オ 仮処分の登記と同時に保全仮登記がされた場合において、当該保全仮登記の本登記がされたときは、仮処分の登記は、登記官の職権で抹消されることになります。この場合、当事者が仮処分の効力を援用したことが明らかだからです。これに対し、仮処分の効力が援用されたことが明らかでない場合には、仮処分の登記は、裁判所書記官の嘱託により抹消されることになります。
3 訂 正
肢アについて出題ミスがありました。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。お詫びの上、以下の通り訂正します。
(誤)
ア 処分禁止の仮処分の登記がされた不動産について、仮処分の債権者が債務者に対する所有権移転の登記手続請求訴訟に勝訴して、単独で、その債権者への所有権の移転の登記を申請する場合において、これと同時に当該仮処分の登記に後れる抵当権の設定の登記の抹消を申請するときは、登記原因を証する情報を提供することを要しない。
↓
(正)
ア 処分禁止の仮処分の登記がされた不動産について、所有権移転の登記手続請求訴訟に勝訴した仮処分の債権者が自己への所有権の移転の登記の申請と同時にする当該仮処分の登記に後れる抵当権の設定の登記の抹消の申請においては、登記原因を証する情報を提供することを要しない。
