2026/03/21 21:56
こんばんは。
会社法・商法第2問 株式の譲渡
1 総 評
本問は、株式の譲渡について会社法の規定の内容を問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢イ、肢ウ及び肢オです。株式の譲渡についての問題は、近年の本試験では、令和7年第28問及び平成30年第28問においてメインテーマとして出題されています。また、これと関連する株式の担保化についての問題も、令和4年第29問及び平成28年第28問において出題されています。そして、このほかにも肢レベルでの出題が見受けられます。株式の譲渡は、本試験で比較的よく出題されている項目であり、重要な知識も多くあります。特に譲渡制限株式の譲渡については、その承認手続を規定する会社法の規定が複雑であるため、苦手とされている方もいるかと思います。もっとも譲渡制限株式の譲渡等承認手続の全部を暗記する必要はなく、よく出題されている箇所を中心に押さえておけば足りるものと思います。過去問で出題されている箇所は押さえておきましょう。
2 各肢の簡単な講評等
ア 株券発行会社において、株券発行前にした株式の譲渡を株券発行会社に対して効力を生ずるかどうかを問うものです。結論からいいますと、株券発行前の株式の譲渡は、会社に対して効力を生じません。この場合、会社が譲渡人に対して株式を発行することにより、株券の発行を正確かつスムーズに行うことを可能とするものです。なお、注意していただきたいのは、当事者間での譲渡は有効であるいうことです(最判令6.4.19)。この場合、譲受人は、譲渡人の会社に対する株券発行請求権を代位行使することができるものとされています(同判例)。
イ 会社法上の公開会社でない株券発行会社は、自己株式を処分した場合でも、株主の請求があるまでは、株券を発行する必要がありません。株券発行会社は、自己株式を処分した場合には、遅滞なく、自己株式を取得した者に対し、株券を発行しなければなりません(会社129条1項)。公開会社でない会社においては、株式の譲渡は、あまり行われることはないため、株式を譲渡する時に株券の発行をすれば足りるからです。
ウ 株式会社は、原則として、親会社株式を取得することができません。これを自由に認めるとすれば、親会社が子会社に指図して自己の株式を取得させるという形で、規制が容易に潜脱されてしまうからです(田中・会社法〔第5版〕p456)。ただし、他の会社から事業の全部を譲り受ける場合には、例外的に親会社株式の取得が認められます。
エ 譲渡制限株式を取得した者が会社に譲渡等承認請求をする場合には、その株主名簿に株主として記載された者(譲渡人)と共同して行うのが原則です。これは、譲渡により不利益を受ける者をあえて承認手続に関与させることにより、譲渡の真実性を担保するためです。もっとも、株券を提示してこれを行う場合には、上記と同じように譲渡の真実性が担保されるため、株式の譲受人が譲渡承認手続を単独で行うことができるものとされています。
オ 株式の譲渡承認手続は、株主総会の普通決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって行えば足りるものとされています。これと比較していただきたいのが譲渡を承認しない場合に会社が株式を買い取るときです。この場合には、株主総会の特別決議が必要となります(会社140条2項・309条2項)。
以上です。おつかれさまでした。
