2026/04/01 20:42
こんばんは。
会社法・商法第12問 取締役及び代表取締役
1 総 評
本問は、取締役及び代表取締役についての会社法の条文の内容を問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢ア、肢ウ及び肢エです。取締役及び代表取締役に関する問題は、過去の本試験では、令和4年第31問(取締役)においてメインテーマとして出題されています。また、このほかにも、肢の一つとして出題されているものもあります。取締役などの役員や会計監査人については、選任又は解任の決議の要件や任期等、商業登記法と関連する問題が出題されることが多いです。もっとも、本問のように、会社法プロパーの問題として出題されることもあります。その場合、受験生は、対策が手薄となっているため、条文知識であっても正解率がさほど高くないことがあります。ただ、それほど難しい事項ではないので、対策をすれば得点することができます。よく出題されるのは、取締役の報告義務(357条1項)、株主による取締役の行為の差止め(360条)及び取締役の報酬等(361条)ですので、これらを中心に対策を講じておきましょう。
2 各肢の簡単な講評等
ア 取締役会設置会社でない株式会社においては、取締役が業務を執行し、二人以上の取締役がある場合には、定款に別段の定めがある場合を除き、その過半数で業務の決定をします。そして、業務の決定を各取締役に委任することができます。もっとも、重要事項(会社348条3項各号)については、取締役の過半数の決定によらなければならず、取締役に委任することができません。
イ 株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(会社350条)。この責任は、企業活動によって取締役が与えた損害は、これによって利益を得ている者が賠償すべきとする報償責任の原理に基づくものです。そして、同条の責任が成立するためには、損害を与えた取締役の行為が不法行為の要件(民709条)を充足している必要があります。
ウ 取締役が自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をする場合には、競業取引として株主総会又は取締役会の承認が必要となります。もっとも、株式会社の場合には、会社の承認を得ることなくその事業と同種の会社の役員や社員の地位に就くことができます。なお、持分会社の場合には、会社法594条2項によって禁じられています。比較しておきましょう。
エ 取締役の株主への報告義務を定めた会社法357条1項の内容について問うものです。なお、会計参与(会社357条)、監査役(会社382条)及び会計監査人(会社397条)の各報告義務についても報告先となる会社の機関を確認しておきましょう。
オ いわゆる「役員報酬」といわれるものです。取締役の報酬等については、定款又は株主総会の決議によって株主が定めなければならないものとされています。仮に、取締役に決定権を与えた場合、不当に報酬をつり上げるお手盛りの危険があるからです。なお、報酬等については多くの判例がありますが、本試験で出題のあるもののみを確認していただければ大丈夫だと思います。
以上です。おつかれさまでした。
