2026/04/07 20:57
こんばんは。
会社法・商法第18問 株式会社の剰余金の配当
1 総 評
本問は、株式会社の剰余金の配当について会社法の条文の内容を問う問題です。
本問においてポイントとなるのは、肢イ、肢ウ及び肢オです。株式会社の剰余金の配当についての問題は、近年の本試験では、令和元(平成31)年第32問においてメインテーマとして出題されています。株式会社の計算等に関する問題は、資本金の額に関する事項が商業登記法の記述式で問われることがあるため、十分対策ができている方も多いと思いますが、計算書類や剰余金の配当に関する事項については手薄になりがちです。もっとも、頻出といえる項目ではないため、深入りしすぎるのは禁物です。したがって、過去に問われている事項だけでも確認しておきましょう。
2 各肢の簡単な講評等
ア 剰余金の配当は、株主の持株数に応じた割当てをすることを内容とするものでなければなりません(会社454条3項)。これは、株主平等の原則からの要請です。しかし、剰余金の配当について異なる内容を定めた種類株式発行会社においては、ある種類の株式を有する種類株主に割当てをしないこととすることを定めることができます。
イ 剰余金の配当の関する事項については、原則として、株主総会の普通決議によって定めれば足りるものとされています。もっとも、現物配当で、かつ、金銭分配請求権を与えないことを内容とするものである場合に限り、株主総会の特別決議が必要となります。これは、問われやすい事項ですので、会社法454条と309条2項10号を確認しておきましょう。
ウ 純資産の額が300万円未満の株式会社は、剰余金の配当をすることができません。これは、会社の債権者を保護するためです。なお、過去の本試験では、「資本金の額が300万円未満である場合には、剰余金の配当をすることができない。」とする誤りの肢が出題されていますので、注意しましょう。
エ 剰余金の配当等に関する業務執行者の責任について定めた会社法462条の内容を問うものです。もっとも、同条は、規定の内容が複雑であり、さらに会社法施行規則も絡んできますので、深入りする必要は全くありません。ここで押さえておいていただきたいのは、違法な剰余金の配当等をした場合には、①業務執行者が株主等の金銭等の交付を受けた者と連帯してその金銭等の帳簿価額に相当する金銭の支払義務を負うこと、②業務執行者の①の責任は過失責任であることの2つです。
オ 会社債権者は、違法な剰余金の配当を受けた株主に対して、その交付を受けた金銭等の帳簿価額(自己の債権額が限度。)に相当する金銭を支払わせることができます。これは、分配可能額を超えることにつき善意の株主に対しても行使することができます(会社463条2項)。なお、肢エに関して、業務執行者が株主に代わってその交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払った場合には、業務執行者は、株主に対して求償権を行使することができますが、善意の株主に対しては求償権が制限されます(会社463条1項)。同条1項と混同させるような出題がされることがあります。注意しましょう。
以上です。おつかれさまでした。
